両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成26年3月2日、産経新聞

「いい子」声掛けは×、説得は○ ハーグ条約運用マニュアル作成 最高裁

 結婚が破綻した夫婦の一方によって、国境を越えて不法に連れ去られた子供を保護するため、もともと生活していた国への子供の返還などの手続きを定めた「ハーグ条約」の運用が4月1日から日本で始まるのを前に、最高裁は、連れ去った親から子供を引き離す強制執行を行う際のマニュアルを作成、全国の地裁に送付した。実力を行使して引き離す手続きを担当する執行官を対象に、執行のポイントを徹底させる。

 児童心理学者など専門家らのアドバイスを十分取り入れ、子供の心に傷がつくことを最小限にとどめるよう強調するなど、慎重な姿勢を重視した内容だ。

 国内の条約実施法では、主導的役割を果たす政府機関である外務省が、子供の居場所確認や当事者解決を促すとされる。不調の場合、東京、大阪両家裁が子供を元の居住国に戻すかを判断。家裁の決定にもかかわらず親が子供を離さない場合、強制的に引き離す手続きが、地裁の執行官により行われる。

 「解放実施に当たって執行官が留意すべき事項」と題されたマニュアルでは、親が子供を抱きかかえたり、子供が親の足にしがみついたりするなどの場面を想定。「子の心身に与える影響を最小限に食い止めるためにはできる限り、連れ去った親の協力を得て任意の引き渡しを実現することが望ましい」として、執行官が親に実力行使するのは親の抵抗がかたくなな場合に限定すべきだとした。

 子供に手続きを説明することもあるが、元の国に帰ることを承諾した場合でも、罪悪感を抱かせない配慮として「いい子だね」などと声を掛けると、自分のせいで両親が争うことになったと感じるなど「かえって深く傷つけるおそれがある」と注意を促した。

 最高裁では2月に各地の執行官を集めて研修会を実施。親が大声でわめく場面を職員が演じるなど模擬演習で準備を整えている。最高裁民事局では、引き離しがスムーズにいかなければ執行官は日を改めて再度執行に赴くなど「粘り強く説得することを基本姿勢にする」と話している。

 ■ハーグ条約 一方の親が16歳未満の子供を国外に連れ去り、もう一方の親が返還を求めた場合に、原則として子供を元の国に戻すことを義務付けた条約。一方の親から国外に連れ出された場合、元の居住国で親権・養育などの問題を協議することが「子供にとって最善の利益」という考え方に立って定められた。1983年発効。現在、米国や欧州連合(EU)加盟の各国など90カ国が加盟。

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