両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成26年3月31日、産経新聞

ハーグ条約4月1日発効で“駆け込み組”も 米国で面会申請の動き続々

 結婚が破綻した夫婦の一方によって、国外に不法に連れ去られた子供を保護するため、元の居住国への返還などの手続きを定めた「ハーグ条約」が4月1日、日本で発効・運用開始される。米国内ではこれに合わせ、子供に会えない親らが面会実現の援助を求める申請書を米国務省に提出する動きも出ている。

■100件近く予測

 日本に子供を連れ去られた親らが集まる米国のNPO「BACHOME」のホームページ(HP)には29日現在、子供との面会を望む35人近くの親らが31日午前、米国務省を訪れ、面会実現のための申請書類を提出する、と掲載されている。

 日本の外務省や、子供を元の居住国に返す判断を出す裁判所、連れ去られた親らの代理人を務める弁護士を紹介する日本弁護士連合会などの関係者らからは「4月には100件近くの面会援助申請がくるかも」との予想も聞かれる。

■駆け込み組

 子供の返還など条約に基づく解決手続きが利用できるのは、4月1日以降に起こった事案。ある法曹関係者は「昨年末から今月にかけ、欧州から、一方の親を残したまま子供を日本に連れ帰ったケースが複数あった。4月の条約施行の前に、連れ帰りを決めたと話していた」と、運用日程の間(かん)隙(げき)を突き、子供を日本に連れ帰る“駆け込み組”の存在を証言。「国際結婚したカップルは、部外者が思う以上に日本が条約締約国になったことを知っている」と話す。

■運用準備着々

 関係機関は条約加盟が決まった昨年6月以降、運用準備を進めてきた。

 最高裁では、子供を連れ去った親から引き離す強制執行に備え、全国の執行官らを集めて研修会を実施。親役が大声でわめいたり、親の親族役がゴルフクラブを持って執行官を脅したりする場面を職員が演じ、模擬演習を行った。

 外務省は日弁連と連携し、裁判所の審理による返還手続きにせず、話し合いでの紛争解決(ADR)を目指すため、東京の3つの弁護士会や大阪弁護士会が構成員になっている総合紛争解決センターなどを利用できるようにした。最大約80万円の費用補助も受けられる。また、外務省は「ハーグ条約ってなんだろう?」と題したパンフレットを、在外日本大使館・総領事館や在京外国大使館、旅券発行窓口、入国管理局などに配布する。

     ◇

ハーグ条約 一方の親が16歳未満の子供を国外に連れ去り、もう一方の親が返還を求めた場合、原則として子供を元の居住国に戻すことを義務付けた条約。国際結婚の破綻による離婚件数に比例し、一方の親が子供を連れ去る例が増える中、元の国で親権問題を協議することが「子供の利益」との考え方に立ち定められた。4月1日現在で日本が加わり、米国や欧州連合(EU)加盟の各国、タイなど91カ国が加盟する。

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