両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成28年9月13日、産経新聞

法制審に民事執行法見直し諮問 子供引き渡しルール明確化へ

■不動産競売から暴力団員を排除

 金田勝年法相は12日、離婚した夫婦の子供の引き渡しルールや裁判所で行う不動産の競売から暴力団員を排除する方策、損害賠償金や子供の養育費の不払いを防ぐ規定などに関する民事執行法の見直しの要綱を法制審議会(法相の諮問機関)に諮問した。今後2年程度かけて論点を整理し、法相に答申する。

 ◆「物と同じ」に批判

 婚姻関係が破綻した夫婦の子供の引き渡しに関してルールを明確化する。

 家庭裁判所で親権者や監護権者が確定した後も、負けた方の親が子供を引き渡さないことがある。

 この場合、裁判所に「強制執行」を申し立て、裁判所の執行官が直接子供を引き取りに行く方法などがある。

 しかし、これは「動産」の引き渡しの規定を類推して適用したものだ。これまで子供に関して明文化された規定はなく、「子供を物と同じ扱いにして、子の福祉に著しく反している」などの批判があった。

 子供の引き渡しに関しては国際結婚が破綻した夫婦間でのルールの方が先に運用されている。

 子供の奪い合いが起きた際の対応を定めた「ハーグ条約」への加盟に合わせ、国内手続きを規定する関連法が平成25年に成立。法制審では、この関連法に準じる形で国内でもルールを明確化する議論が行われる。

 ◆賠償金不払い防止

 裁判で賠償金の支払いが確定したり、離婚して子供の養育費の支払い義務があったりしても、支払いが行われないケースが多数ある。こうした「不払い」を防ぐため、15年に改正された民事執行法では債務者に自身の財産を開示させる義務を負わせた。

 だが、債務者が裁判所に出頭しなかったり、虚偽の開示をしたりすることがあり、開示手続きの利用は年間1千件程度と低調。不出頭などは債務者への罰則が弱いことなどが原因との指摘があった。

 法制審では、銀行などから債務者が持っている預金口座の情報を取得するなどの方策を検討するほか、開示に応じない債務者への罰則強化なども議論する。

 ◆制限なく「抜け穴」

 暴力団が絡む不動産取引については、既に全都道府県で暴力団排除条例が施行され、所有者が暴力団事務所に使われると知りながら不動産を譲渡することなどが禁じられている。

 ところが、これまで裁判所の競売に関しては暴力団員の買い受け自体を制限する規定がなく、抜け穴とされてきた。

 買い受けられた不動産が実際に暴力団事務所として使用された例もある。長崎県佐世保市で19年、九州に本拠地を置く暴力団の関係者が担保不動産競売手続きで不動産を競落し、暴力団事務所を開設。周辺住民は仮処分と訴訟に約4年かけて使用を差し止めた。

 事務所として使用するほかにも、買い受けた不動産の転売によって暴力団が利益をあげ、活動の資金源になっているケースは多数あるとみられる。

 法制審では、いったん売却された物件を取り戻すことは困難なため、売却手続きの過程で暴力団の関与を制限する方策を検討する。警察が持っている暴力団に関する情報の活用や、競売に暴力団員やその配偶者などの関係者が参加しようとした場合の対処法などについて議論する。

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