両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成31年3月26日、弁護士ドットコム

「離婚後の単独親権は違憲」 共同親権導入求め、男性が国賠提訴

日本では、子どものいる夫婦が裁判離婚した場合、父親か母親のうちどちらかが親権を持つ「単独親権」を裁判所が定める、と規定されている(民法819条2項)。しかし、こうした離婚後の単独親権のあり方は、夫婦であった親の間で合理的な理由なく差別的な取り扱いをすることであり、憲法に違反するとして、都内の会社員男性(40代)が3月26日、東京地裁で国を相手取り164万円の損害賠償を求める訴訟を提訴した。

男性は2人の子どもの親権を最高裁まで元妻と争っていたが、認められず、親権を失った。男性は提訴後の会見で、「親権を持つことに不適格な方もいると思うが、どちらの親も親権者として適格であるケースが多いと思います。裁判所も調査はありますが、判断することが難しいので、子どもと同居している親に親権を与えているのではないか」と現在の単独親権のあり方に疑問を持ったことが、提訴の理由の一つだと語った。

この裁判は、離婚後も婚姻時と同様に両親で共同親権を持てるよう求めるもので、国会による立法不作為を指摘している。男性の代理人である作花知志弁護士によると、立法不作為による国家賠償請求訴訟で、単独親権を憲法に問う裁判は全国で初めてという。

●法務省で共同親権導入を検討、「後押ししたい」

訴状によると、離婚後単独親権を定めた民法819条2項は、法の下の平等を定めた憲法14条1項や、「離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」とする憲法24条2項に違反するとしている。

作花弁護士は会見で、共同親権の重要性を次のように語った。

「現在、法務省では離婚後も共同親権が持てるよう、法改正するべきではないかと動き始めています。この裁判では、その立法を後押ししたいと思っています。世界の国の中で、離婚後に単独親権をとっているのは日本と北朝鮮ぐらいです。他の国は共同親権が基本です。なぜなら、離婚は夫婦関係の解消であり、親子関係に関係するものではないという考え方です。

法務省のこうした動きの背景には、多発する児童虐待の問題があります。離婚して単独親権を持った親の新しい配偶者が子どもを虐待するケースが非常に多い。その場合、親権を失った親はその子どもを救う手段が持てない。共同親権によって児童虐待がすべてなくなるわけではありませんが、その手段の構築につながると思いました」

●「裁判所は子どもの味方になってほしい」

原告の男性は、元妻とは共働きで育児も積極的に行なっていたという。しかし、元妻と単独親権を裁判で争った際、子ども2人を連れて行った元妻に親権が与えられた。男性がその裁判を通じて感じたことは、子どもを現在監護している親が親権を取るケースが多いことだったという。その理由として、裁判所による調査には限界があることを指摘した。

また、男性は面会交流のあり方にも疑問を投げかけた。男性は月に2回、週末の場合は8時間、長期の休みには宿泊もするという条件で子どもたちと面会交流を続けている。「これが現在の裁判所で認めてくれる最大限だそうです。しかし、育児をしてきた自分にとって、頻度が少ないと感じています。また、面会交流は強制力がなく、親権がない自分にとって、確実に子どもと会えるという保障がない」という。

男性の子どもは、裁判所の調査官に対して『毎週、パパに会いたい』と訴えたといい、男性は「子どもが親に会いたいというのは、お腹がすいたとか、眠いとか、そういう基本的な欲求であり、かなえてあげるのが大人の役割ではないでしょうか」と訴えた。

「裁判所は、子どもの味方になってほしいと思います。単独親権は親同士の争いが生じやすい制度だと感じています。子どもが犠牲者になる可能性があります。そういうことを考えて判決を出してほしいです」

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