令和2年11月15日、日刊ゲンダイ
面会交流のルールを法制化しない国を子や親族が訴えた!【「表と裏」の法律知識】
親が離婚した後に、離れ離れになった親と会えないのは国が法整備を怠ったからだと、面会交流ができなかった子どもやその親族が国を訴えました。
親権者をどちらにするかだけでなく、別居親と子どもとの面会問題は、離婚事案で争いになることが本当に多いです。
「○○してくれないなら、子との面会を拒否したい」と子どもとの面会を交渉カードにしようとする同居親を何度も目の当たりにしています。
子どものいる夫婦が離婚しようとするとき、多くの場合どちらかが子どもを連れて家を出て別居状態になります。例えば妻が子どもを連れて家を出る場合、妻の夫に対する嫌悪感などから、夫が子どもとの面会要求をしても、これに直ちに応じないことがままあります。その場合の拒否の理由として、家庭内暴力(DV)があったこと、面会時に子どもを連れ去られてしまう危険があることのほか、子どもが面会を望んでいないなどと主張する妻もいます。
妻が、子どもとの面会に応じさせない場合、夫は調停や審判がまとまるまで、相当長期にわたり、子どもと会うことがかなわない事態に陥ってしまいます。
さらに、離婚後の親権・監護権について、家庭裁判所は、(さまざまな考慮要素がありますが)子どもの別居後の生活環境を変えない方が子どもの福祉に適することを重視して、子どもと一緒の親側に親権・監護権を認める判断をする傾向もあります。
また、面会交流のルールをせっかく定めても、「急な予定が入った」「子どもの体調が悪い」「面会をすると子どもが夜寝なくなる」などの理由で、一方的に面会を拒否するケースもみられます。
これが海外でも批判される日本の「連れ去り勝ち」の現状です。
両親との関わり合いは、子どもの心身の発達にとても重要であることはいうまでもありません。しかし日本の法律では、別居親と子どもとの面会についての義務やルールが明確に定められていないため、別居親が子どもに全く会えない極めて理不尽な状態に陥っている場合も多いです。
今回「面会交流をさせてもらえなかった子どもたち」が立ち上がったことは、今の日本の法律や家裁の判断に一石を投じる、重要な意味を持つでしょう。
(髙橋裕樹/弁護士)
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