両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

令和3年7月31日、Japan In-depth

EU加盟国大使ら連帯示す ヴィンセント・フィショ氏ハンストは終了

安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
Japan In-depth編集部

【まとめ】
ヴィンセント・フィショ氏、骨折した指の手術でハンスト中止。
欧州連合(EU)加盟国の駐日大使ら9人がフィショ氏を訪問
駐日仏大使「日本当局に領事保護の支援をお願いしており、これからも当局にコンタクト続ける」
 
仏人男性ヴィンセント・フィショ氏の命をかけたハンガーストライキが21日目の今日終わった。昨日29日に倒れた時に小指を複雑骨折し、その手術が今日行われたからだ。
フィショ氏は、3年前妻が子どもと家を出てから会えていない2人の子どもとの再会を求めて、国立競技場側の千駄ヶ谷駅(JR東日本総武線:東京都渋谷区)構内で 3週間にわたりハンストを続けていた。
フィショ氏は30日夕方、Facebookにこう投稿した。
「21日前にハンガーストライキを開始したとき、私の目的は、(私が)危篤状態になって、子供たちがどれだけ苦しんでいるかを当局に示し、楓(かえで)と翼(つばさ)を家に戻すきっかけを作ることでした。あと数日だったと思っています。水曜日に失神して指を骨折したときは、簡単に治せると思っていました。2日間努力しました。しかし、残念ながら今日のニュースでは、完全に麻酔をかけて手術をし、チタン製のプレートを指に挿入する必要があると言われてしまいました。私は非常にがっかりしています。しかし、子供たちを失望させたという気持ち以上に、子供たちを支援してくれる多くの人たちと出会い、日本政府による子供たちの権利侵害を一緒に終わらせることができると確信しています。(欧州各国の大使9名が朝から応援に駆けつけてくれました)」
それに先立ち、30日午前11時過ぎ、パトリシア・フロアEU駐日大使を始め、フランスドイツ、イタリア、スペインなど欧州連合(EU)加盟国の駐日大使ら9人がフィショ氏を訪問し、連帯を示した。現場には欧米メディアだけでなく、時事通信、共同通信、テレビ朝日など、一部の日本のメディアも集まった。

駐日欧州連合代表部は以下のTweetを投稿した。

EU大使と複数のEU加盟国大使は本日、日本にいる自身の子どもへのアクセス を求めているフランス人、フィショ氏と面会した。大使たちは、全ての子どもたちが両親との絆を保てるよう、#子どもの権利条約 を順守することへの連帯を示した #EUinJapan

また、フィリップ・セトン駐日フランス大使は、
「(フィショ氏を含め)EU市民に関わっているこのような問題について、EUレベルでもEU加盟国の大使レベルでも、日本の様々な機関と何度も話しあっています。ただ、日本国内の司法に関することに干渉することは考えていません。私たちは、(自国民を)領事保護(注)できるよう、日本当局の支援をお願いしており、これからも当局にコンタクトを続けていきます」と述べた。

EU大使らの訪問を受け、フィショ氏は、Japan In-depthの取材の取材に対し、「私の戦いは始まったばかりだ。まだ子ども達は家に戻っていない。日本の政治家が行動を起こし、日本の裁判所が法律を尊重すべきだ。既に法律はあるのだから。(今日のEU大使らの訪問で)事態は動くかもしれないが、私の戦いは終わらない」と話し、ハンストを続ける意志を示していた。
緊急手術により、まだ続くと思われたフィショ氏のハンストは終わった。結婚破綻後の片方の親が子どもを連れて出た後、子どもに会えなくなる、いわゆる「子どもの連れ去り問題」で苦しむ人は多い。子どもの権利を守るためにはどうしたらよいのか、政府・司法が解を見いだせないのなら、国会が動くべきではないのか。政治家の覚悟が問われる。
(編集部注:領事保護=在外公館が自国民の利益を保護すること。安否確認することなどを含む)

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