令和3年9月14日、SAKISIRU
共同親権に向けて:国賠の原告とハンストのフランス人男性ら院内集会
「明らかに日本社会のシステム、社会の問題」
牧野 佐千子 ジャーナリスト
離婚後の単独親権によって自分の子どもに会えない別居親らが構成する市民団体「共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会」は14日、東京・永田町の衆議院議員会館で院内集会を開き、関連する国賠訴訟の進捗報告等を行った。問題を訴えるために7月に東京都の千駄ヶ谷駅前でハンガーストライキを行ったフランス人男性、ヴァンサン・フィショさんもパネリストとして参加(ハンストについてはこちら)。ハンストの報告やEUで採択された非難決議の現状報告などを行った。
集会でははじめに、「『パパかママか』の単独親権制度は時代にあっていない」として共同親権を求め、国を相手どって係争中の国賠訴訟の進捗状況を報告。弁護団の一人、古賀礼子弁護士は、これまでは被告の国からの具体的な回答がなかったが、今回、親権については「両性の本質的平等」のもと、子どものことを「慎重熟慮のうえに判断する」との文言を使った回答があり、「裁判所も真剣に審議してくれているなと手ごたえを感じている」と語った。
単独親権の問題について取り組む嘉田由紀子参議院議員も集会に参加。「戦後憲法が改正された時に、両性の本質的平等の観点から半年間ほど共同親権を正規の方針にしていた時期があった。現在詳細を調べているところで、進捗をまた報告したい」と話し、離婚の際に子どもを連れ去る行為が、刑法224条の未成年者誘拐略取の対象になるとの答弁が、上川陽子法務大臣からあったことについても報告。その保護法益は「子どもの自由と片方の親の監護権」であると、国会での進捗状況を語った。
また、串田誠一・衆議院議員は「通常国会で諮問になったが、まだまだ共同親権は具体化はされていない。国会議員の一人として本当に申し訳ないと思っている。子どもに会えない祖母の方からも相談受け、この問題は当事者にかかわらず、おじいしゃん、おばあちゃん、いとこまで、一方の親に関わる人間関係がすべて断絶されるとんでもない問題。そのような断絶のない国にしましょう」と訴えた。
ハンストの現場に多くの母親が
続いて、ハンストを行ったヴィンセント・フィショさんが、「この問題について闘う親は、自分たちのためではなく子どもたちのために戦っている」と今回の行動の趣旨について説明。「ハンストの間、たくさんのことを学んだ。多くの(単独親権制によって子どもと会えなくなった当事者の)母親がハンストの現場である千駄ヶ谷駅に来てくれた。あれほどたくさんのお母さんたちも、連れ去りに遭っているとは知らなかった。国内でも被害に遭っている人の数は驚くべきものだ。それなのに最高裁も議会も政府も、『個人的な問題』と言っている。これは明らかに日本社会のシステム、社会の問題だ」と訴えた。
日本の家族法制度の改革について日本政府に長年働きかけてきたフランスの国会議員で、在外フランス人議会議員のティエリ・コンシニさんは、この1年間のEUでの動きを説明。EU議会からの決議案について、ほぼ全議員の賛成票があったことや、フランスのマクロン大統領が東京オリンピック開幕に合わせて来日した際に菅首相と会談し、子どもの権利について話し合いを続けていくとの共同声明を出したことについて報告した。
コンシニ氏は、今後、欧州と日本のフェミニストを招いて子どもの権利のための制度について議論することも検討しているとし、「これからも話し合いの場を作って、一日も早く日本で共同親権が実現するよう戦っていきます」と決意を述べた。
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