両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

令和4年11月15日、産経新聞

「子の利益」論点整理できるか 離婚後親権の中間試案

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 法相の諮問機関「法制審議会」の家族法制部会が15日、公表した中間試案は、離婚後の親権に関し、共同親権と単独親権の単純な「二者択一」ではなく、例外規定を設けて細かく選択肢を提示する形となった。意見集約が難しかったことの裏返しともいえるが、法務省はパブリックコメント(意見公募)で国民の意見を広く募り、さらなる議論に生かす考えだ。

 共同親権の導入を巡っては、平成23年の民法改正時に衆参両院の法務委員会の付帯決議で「可能性を含めた検討」が明記されたことなどを受けて、令和3年2月に法相が法制審に諮問していた。

部会では、共同親権であっても従来通りの単独親権であっても「子供の利益に資するべきだ」という点は委員間で一致していた。ただ、実際にどんな仕組みが最も「子の利益」につながるかという点については、議論百出した。

 ある委員は、共同親権は子供からみれば、普段はそばにいない「もう一人の親」に相談する権利になりえるとし、肯定的な見方を示した。別の委員も、離婚後に別居する子供から受験について電話で相談を受け、これをきっかけに元配偶者と話し合いの機会を持ったことで適切な助言ができたとの体験を明かし、原則的に共同親権とすることで、こうしたケースが増えることを期待した。

ただ、離婚した両親の意思疎通が円滑でない場合、子供の進路などの重要事項が、かえって期限内に決まらないなどの混乱も予想される。このため中間試案では、共同親権はあくまで「例外」とし、原則的に単独親権とする案も併記された。

また、ドメスティックバイオレンス(DV)の渦中にある場合などでは、共同親権だと「真の合意ができない可能性があり、一切認めるべきではない」という意見も出た。このため、現行の単独親権のみしか認めないとする案も残された。

 今回の中間試案では、共同親権を認めた場合でも、身の回りの世話をする「監護者」については父母のいずれか一方を指定する仕組みも提案された。

 法務省関係者は、今回の中間試案について「あくまでパブリックコメントを募るための案だ」と強調する。神学論争に陥ることなく「子の利益」を軸に論点をどう整理し、「両論併記」を脱することができるかが、法案化のカギとなりそうだ。(荒船清太)

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