両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

令和4年2月15日、CHANTO WEB

離婚が子どもに与える影響「親と子どもで違う喪失感」

3組に1組が離婚する時代。親の離婚を経験する子どもも少なくありません。親の離婚が子どもの心理に及ぼす影響について、臨床心理学者・野口康彦さんにお話を伺いました。

離婚よりも両親の不和がダメージは大きい

── 離婚したいと思っても、子どもへの影響を気にして踏みとどまる人は多いように思います。実際、親の離婚は子どもにどのような影響があるのでしょうか。

野口さん:
子どもにとって、両親の離婚はけっして不幸なできごとではありません。

インタビュー調査のなかで、ある青年が、「親が離婚して、うちは不和家庭じゃなくなった」と話してくれたことがあります。

子どもにとって、両親の紛争や葛藤といった不和状態は、大きなストレスになります。とくに思春期に両親の不和を目の当たりにすると、結婚に対するポジティブなイメージを持てなくなってしまうこともある。

親の離婚によって不和家庭から解放され、子どものストレスが軽減されるケースも多いんです。

離婚直後の子どものメンタル

── 離婚後に子どもと同居する親が、心がけるべきことはありますか。

野口さん:
離婚における親の体験と子の体験は違うということを忘れないでほしいです。たとえば、母親にとって元夫は離婚によって断ち切りたい相手かもしれませんが、子どもにとって父親は、離れていても愛着のある存在であり続ける場合があります。父親だけでなく、父方の祖父母との別れや、転居や転校による友達との別れも、子どもにとっては大きな喪失体験になります。

大人は新しい出会いを求めたり、ときにはうさばらしをすることもできますが、子どもはその喪失感を抱え込んでしまうことが多い。

また、住む家が狭くなったり、母親が仕事を始めたりと、環境も大きく変わりますから、離婚後に同居する親子は、関係の再構築をすることになります。

年齢にもよりますが、しっかりした子ほど、親の苦労を引き受けてしまう傾向がありますね。

ひとり親の子育てで大事なこと

── 離婚後子どもと暮らすのは、多くの場合、母親というのが実情です。母親は、子どもの父親と交流を持ち続けたほうがいいのでしょうか。

野口さん:
基本的には交流を持ったほうがいいと思います。

面会交流は養育費とセットになっているケースが多いこともあり、別れた父親と面会交流ができるような関係であるほうが、子どもにとっては望ましいといえますね。

DVなどが原因で離婚した元夫とどうしたら会わずに済むかと悩んでいる人も多いので、そうした場合はもちろん例外です。

── 離婚後も、子育ての面ではパートナーとして協力している人が増えている印象があります。

野口さん:
離婚する前から積極的に子育てに関わってきた父親が増えたことも理由のひとつでしょう。家庭裁判所の発表によれば、父親からの面会交流親権を求める相談は、2005年から2019年の十数年で3倍になっています。

とくに子どもの年齢が低いほど、その傾向が強いようです。

ただ、日本の民法は単独親権を定めているので、共同養育の責務はありません。

── ひとり親への支援制度も増えてきていますね。

野口さん:
ひとり親の子育てで、何よりたいせつなのは親がラクになることなんです。ツラいのに「だいじょうぶだよ」と言っても、子どもには伝わってしまいますから。

親自身が、経済的にも精神的にも支援してもらえて、楽しく過ごしていれば、子どもは安心して過ごせます。だからこそ、親へのサポートシステムは必要不可欠だと考えています。

たとえば兵庫県明石市では、離婚届を提出した人には、離婚後の生活相談に乗るシステムがあるそうですが、興味深い試みですね。このあたりはやはり行政が主導しないとなかなか変わらないのではないでしょうか。

PROFILE 野口康彦さん
茨城大学 人文社会学部 人間文化学科教授。スクールカウンセラーとしての実績を生かして、親の離婚・再婚を経験した子どもの心理を研究している。著書に『家族の心理 新しい家族のかたち』(共著、金剛出版)ほか。

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