両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

令和5年6月7日、東京新聞

父母の合意なしで共同親権の適用も? 裁判所が判断との新制度案、法務省が初めて提示

 離婚後も父母がともに子の親権を持つ「共同親権」の導入を巡り、法務省は6日、裁判で離婚する父母の間で意見が対立した場合、裁判所が単独親権か共同親権かを決定できるようにするとの考え方を法制審議会(法相の諮問機関)の家族法制部会に示した。これまでは協議離婚する父母が合意した場合、共同親権を認める方向で議論してきた。

 6日の部会では、裁判で父母のどちらが親権を持つのか合意できない場合の制度設計などを議論した。法務省はこれまでの議論を踏まえた上で、たたき台として、単独親権と共同親権のどちらが▽子の利益になるのか▽子の世話を円滑に行えるのか▽子や父母の安全を害する恐れがないのかーなどを考慮した上で、裁判所が判断するという制度案を初めて示した。同制度案が採用されれば、父母のどちらかが反対しても、共同親権が適用される可能性もある。
 関係者によると、この制度案について、民法の専門家らを中心に「父母が合意できるかどうかよりも、子の利益が優先されるという考え方は自然だ」など、支持する意見が目立った。その一方、ドメスティックバイオレンス(DV)被害者らへの影響を懸念する複数の委員からは「父母が合意できたケースに限り、共同親権を認めるという話ではなかったのか」「意見対立時の共同親権の強制は危うく、議論すること自体が不適切だ」などの批判が出た。
 共同親権を巡っては、別居親が子育てに関わりやすくなり、子の利益になるとの意見がある一方、DVや虐待の被害が続く恐れがあるとの見方もある。部会は、今月下旬の次回会合でも今回と同じテーマを引き続き議論し、秋以降に法相に答申する改正民法の要綱案に反映させる方針。 (大野暢子)

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