両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

令和5年8月29日、NHK

法制審議会 “離婚後の共同親権も可能”要綱案のたたき台示す

離婚したあとの子どもの親権について、法制審議会の部会は、制度の見直しに向けた要綱案のたたき台を示しました。父と母には子どもを養育する責務があるとして双方が親権者になる「共同親権」とすることも可能だとしています。

現在、夫婦が離婚したあとはいずれか一方が親権者となる「単独親権」という制度が採用されていますが、社会情勢の変化に対応できていないなどの指摘も出ています。

このため、法制審議会の家族法制部会は2年以上にわたって議論を行い、29日に制度の見直しに向けた要綱案のたたき台を示しました。

それによりますと、夫婦は離婚したあとも子どもを経済的かつ精神的に養育する責務があるとして、父と母の双方が親権者になる「共同親権」とすることも可能だとしています。

ただ、配偶者からの暴力や子どもへの虐待があった場合などは例外として、父か母のいずれか一方が親権者となり、場合によっては親権者を変更することもできるとしています。

また養育費については、不払いを避けるため
▽事前の合意があれば支払いが滞った際に財産の差し押さえができるほか
▽事前の取り決めをせずに離婚した場合も一定額の養育費を請求できる「法定養育費制度」を設けることも検討するとしています。

部会は要綱案をことし中に取りまとめたいとしています。

部会の委員「多様な家族のあり方に合わせ柔軟に対応」

家族法が専門で、部会の委員の1人でもある早稲田大学の棚村政行教授は、今回示されたたたき台について「これまでは単独親権以外の選択肢がなかったので、離婚後も共同親権という可能性を示すことに意義がある。子どもの利益を守るという観点から、多様な家族のあり方に合わせて柔軟に対応するための見直しだ」と話しています。

家庭内暴力などがある場合は共同親権の例外とすることについては「安心、安全を守ることは非常に重要だ。DVや虐待のような差し迫った事情への懸念を踏まえて、具体的なルールや基準についてこれからさらに議論する必要がある」と話していました。

今後については「世界の大きな流れを踏まえ、日本の現状を前提として子どもの権利や利益をどう守るかという形で議論していきたい。法整備だけで子どもや当事者が幸せになるわけではないので、支援策についても合わせて考えていくことが求められる」と話しています。

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