両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

令和6年1月30日、毎日新聞

離婚後の共同親権、導入可能に 法制審部会が民法改正要綱案

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 家族法制の見直しを検討してきた法制審議会(法相の諮問機関)の部会は30日、婚姻中の父母に認められている共同親権を離婚後も可能とする民法改正の要綱案を取りまとめた。離婚後の共同親権が導入されれば1898年の明治民法施行以降初めてで、離婚後の法制度は大きく見直されることになる。2月に予定されている法制審の総会を経て法相に答申され、政府は今通常国会に改正案を提出する方針。

 厚生労働省によると、婚姻件数は近年、年間50万件前後で推移する一方、2022年は17万9099組が離婚し、うち9万4565組に子どもがいた。およそ3組に1組が離婚を選択する社会情勢となる中、部会は、これからの家族法制がどうあるべきか、議論を重ねてきた。
 要綱案はまず、これまでは法解釈に委ねられていた、子の養育をする上で父母が負う責務を明確化。親権の有無に関係なく、父母には子の人格を尊重して子を養育し、子の利益のために協力する義務があることを明記した。

 その上で、離婚後共同親権の道を開き、父母は協議して離婚する際に、離婚後の共同親権か単独親権かを選ぶことができるとした。協議が整わなければ家裁が審判で親権者を決める。家庭内暴力(DV)や児童虐待があり、共同親権がふさわしくないケースを除外するため、家裁が判断の手掛かりとする考慮要素も盛り込んだ。
 親権行使のルールも再整備した。婚姻中でも離婚後でも、共同親権の下では父母が共同して親権を行使するのが原則としつつ、子の日常に関する決定については父母が単独で判断できるとの規定を加えた。また、「急迫の事情」があれば、父母のいずれかが単独で親権を行使できるとした。
 養育費の着実な支払いや、別居親と子の早期の交流を促す規定も新たに設けた。父母双方が協力して得た財産を分ける財産分与についても請求できる期間を現行の2年から5年に延長する。
 部会は21年3月に初会合を開き、2年10カ月にわたって計37回の会合を重ねてきた。30日は21人の委員が要綱案の採決に参加し、3人が反対した。部会は併せて、今回の改正内容が国民に正確に伝わるよう適切に周知する必要があるとする付帯決議をした。【飯田憲】

養育費支払い、面会交流促進へ

部会では、親権と並んで、養育費の着実な支払いや、別居親と子の面会交流の促進が大きな論点となった。2021年度の厚生労働省のひとり親世帯を対象とした調査では、現在も養育費を受けている▽現在も離婚した別居親との面会交流を行っている――と回答した母子世帯は、いずれも3割程度にとどまっており、離婚に伴う社会的課題になっている。
 現行制度で不払いとなった養育費を差し押さえるには、公正証書や、家裁の調停や審判で作成された書面が必要となる。そもそも離婚時に養育費の支払いを取り決めない父母も多く、ハードルは高い。
 このため要綱案は、養育費の請求に特権を与え、支払い義務がある親に、他の債権者に優先して養育費を支払わせる仕組みを整えた。これにより、養育費の支払いに関する父母間の「覚書」のような文書があれば、公正証書や家裁の書面がなくても給与などの財産の差し押さえが可能となる。
 さらに、養育費に関する合意や協議がなくても、子を養育する親がもう一方の親に一定額を請求できる「法定養育費」制度を新設するとした。協議が整わない場合のセーフティーネットと位置づけ、子の最低限度の生活の維持に必要な金額が想定されている。
 別居や離婚で離れ離れになった親子を早期に面会させる制度も創設する。親子の交流が長期間滞ると、親子関係にあつれきが生じやすくなるとされることから、調停・審判手続き中に、家裁が親子交流の試行的な実施を促すことができるとした。
 併せて、これまで父母のみ認められていた面会交流の申立人の範囲を改める。子の利益のために特に必要である場合には、祖父母や兄弟姉妹らにも広げる。
親権
 未成年の子に対して親が持つ権利と義務。主に、子の身の回りの世話(監護)や教育、子の居所指定をする「身上監護」と、子の財産を管理する「財産管理」からなる。民法は818条で「父母の婚姻中は、父母が共同して行う」として婚姻中の共同親権を定める。一方、819条で「父母が離婚をするときは、一方を親権者と定めなければならない」として離婚後の単独親権を規定している。

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