平成23年9月30日、朝日新聞
ハーグ条約、法制化に注文=カナダが意見書提出要求―「子の返還」骨抜き懸念
国際結婚が破綻した場合の親権争いの解決ルールを定めたハーグ条約をめぐり、条約加盟国のカナダが、関連法案の策定作業を進めている法制審議会(法相の諮問機関)に意見書を提出したいと日本政府に要求していることが29日、分かった。「欧米各国には日本の法律次第では条約が骨抜きにされかねないとの懸念がある」(外務省関係者)と指摘される。ただ、日本の法案策定に当たって他国が異例の注文を付ける形となり、国内で反発を呼ぶ可能性もある。
同条約は結婚が破綻して一方の親が子を国外に連れ去った場合、子をいったん元の居住国に戻して親権争いを決着させる手続きを定めている。子を無断で連れ帰る日本人親の増加に伴い、欧米で日本への加盟要求が強まり、政府は5月に加盟の方針を閣議了解した。
ただ、国内では「加盟すれば家庭内暴力から逃れて帰国した親子を危険にさらす」との意見も強く、政府は(1)家庭内暴力があった(2)親が刑事訴追される恐れがある―など、子の返還を拒否できる事例も閣議了解に幅広く列挙した。これに対し、加盟国は「条約の原則を損なう」(キャンベル米国務次官補)と反発。カナダの意見書も、政府内では「欧米加盟国の声を代表したもの」と見る向きがある。[時事通信社]
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