平成24年10月23日、読売新聞
きしむ親子② 実の娘連れ戻し「有罪」
法廷に、むせび泣く父親の声が響いた。
「離婚したら、子どものことは考えずに生きるしかないのでしょうか」
4月18日、松山地裁。長女(7)を連れ去ったとして、未成年者略取の罪に問われた吉田正広受刑者(61)が裁判官に訴えていた。
2006年に元妻が娘を連れて家を出た。3年後に離婚が成立し、娘の親権は元妻へ。娘とは月に1度会う約束だったが、元妻の意向で次第に会えなくなった。
「娘の成長を見守りたい」。今年1月、登校中の娘に声をかけ、車に乗せて連れ去った。
(中略)
法廷では、"誘拐"された娘の供述調書も読み上げられた。
<一緒にいる時のお父さんは優しかった。お父さんは前にも私と一緒にいて、お巡りさんに連れて行かれちゃったので、今回もいけないことをしているんだなと思っていた。お父さんが心配だから、なるべく優しくしてあげてください>
(中略)
父親が誘拐罪に問われた事件の裁判を最高裁判事として担当したことのある滝井繁男弁護士は、「親が犯罪者になったら、苦しむのは子どもだ。子の奪い合いに安易な刑事介入を認めるのではなく、家裁で解決すべきだ」と話す。
母親による子連れ別居は日本では一般的だが、欧米では子の連れ去りとみなされ、誘拐罪などに問われることがある。離婚後も父母双方に親権を認める共同親権を取っているためだ。
(中略)
離婚問題に詳しい棚瀬孝雄弁護士は「(ハーグ条約に)加盟すれば、国際離婚ばかりでなく、子どもを無断で連れ出すことはいけないことだという考え方が浸透し、子連れ別居を容認してきた日本の姿勢も見直しを迫られるだろう」と指摘する。
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