両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成24年2月18日、大分合同新聞

離婚後「住所さえ分からぬ」 孫よ会いたい

息子や娘の離婚で孫と引き離された祖父母らが、孫との面会や交流を求めて動き始めた。離れて暮らす親子が面会する方法を離婚時に取り決めるよう明記した改正民法が4月に施行されるのを機に、「孫と定期的に会える仕組みも議論してほしい」と訴えている。

親子の面会取り決め 改正民法4月施行 祖父母も「仕組みを」

問題の認識広まる

「インフルエンザにかかっていないかな」「地震があったらさぞ怖がるだろうねえ」。静岡市の山本和子さん(65)=仮名=と夫の話題は、7年前に突然会えなくなった2人の孫のことばかり。長男の妻が幼い子どもたちを連れ、首都圏の家を黙って出たからだ。その後離婚した長男は子どもとの面会を求めているが妻は拒み続けている。
「孫がどこに住んでいるかも分からない。会えないのは本当につらい」と訴える山本さんは「わが子と会えず落ち込む息子を見るのもつらい。祖父母は二重の苦しみを味わう」と声を震わせた。
 国内の離婚は1990年の約16万件から2010年は約25万件と1.6倍に増加。子どもとの面会を求める親と、拒否する親の間でトラブルも続発している。
「親子の面会交流を実現する全国ネットワーク」(子ネットへ事務局千葉県松親戸市)の藤田尚寿代表は「の面会さえ困難な中で祖父母は『孫と会いたい』と表立って言えなかったが、民法改正など問題の認識が広まってきたことで、やっと声を上げられるようになった」と解説する。
 親子ネットは離婚した当事者が集まり肥年に設立されたが、最近は祖父母の員も増加。祖母の一人は「正された民法は強制力がない。次は親の面会を法的に保障するところまで持っていくべきだ。そうすれば祖父母にもチャンスが出てくる」と話し、全国の孫に会えない祖父母に、活動へ参加をインターネットで呼びかけている。

「死別」さらに困難

 一方、親の面会権が法的に実現しても、なお孫と会えないのが息子や娘を亡くした祖父母たち。
 千葉県在住の男性(68)の場合、一昨年に娘が病死し、当時1歳10力月だった孫の男児は娘の夫が引き取ったが、男性が「時々でいいから孫と会いたい」と伝えても、なしのつぶて。「孫の成長を見守りたいし、『マこんな人だったよ』と話してやりたいのに」と肩を落とす。
 この男性は「祖父母との関係を断つのは孫の成長にも良くない。面会交流で祖父母は枠外に置かれてきたが、経験した者が動かないと誰にも分かってもらえない」と話し、家裁に調停を申し立てる準備を始めた。
 少子化で孫の存在感は増ており、共働きの親の多くも子育てに祖父母の助けが欠かせない。離婚をめぐる子どもの心理を研究する青木聡・大正大教授は「祖父母と孫の関係は親密になっている。親だけでなく祖をも考慮した面会方法の標準プランを国が作り、離婚の際の指針にするのがいい」と話している。

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