両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成26年1月29日、読売新聞

「離婚」 その前に養育計画

書式作成、取り決め促す

明石市では4月から、離婚時に子どもの養育について話し合うための用紙を市役所の窓口に用意する(兵庫県明石市で)

 離婚時に、夫婦の間で養育費や子どもとの面会交流の取り決めがしっかり行われるよう、自治体などが促進策に乗り出す。

 兵庫県明石市は4月から、離婚後の子どもの養育に関する専門相談を設ける。また、弁護士らの研究会は養育計画を書き込める書式を作成し広く利用できるようインターネットで公開する。

 「離婚するにしても、子どもの養育をどうするか決めてからにしてほしい」。弁護士として離婚問題に接してきた明石市の泉房穂市長はそう話す。

 同市は離婚に関する相談を拡充し、4月から、市役所内で月1回、無料の専門相談を開始する。担当するのは、面会交流支援などを行っている公益社団法人家庭問題情報センターだ。

 2012年4月に施行された改正民法で、子どものいる夫婦が離婚する場合、養育費や面会交流など離婚後の子どもの養育について取り決めることが定められた。

 ただ、強制力はなく、取り決めたかどうかのチェック欄が離婚届に設けられているだけで、取り決めがなくても離婚届は受理される。法務省が12年4月から13年9月の離婚届を調べたところ、「取り決めをしている」とチェックがあったものは57%にとどまっていた。

 明石市では取り決めを促すため、離婚の相談に訪れたり、離婚届を取りに来たりした当事者に対し、養育費の支払い日や期間、支払い方法、面会交流の頻度や方法、連絡の取り方などを書き込める合意書の用紙を配布する。

 合意書を作成した後は、速やかに公正証書にできるよう公証役場も紹介。当事者同士で話し合えない場合には、法テラスなども紹介する。2月には関係機関が参加する「明石市こども養育支援ネットワーク連絡会議」を設け、連携強化を図る方針だ。

 自治体でのこうした取り組みは珍しく、泉市長は「養育費や面会交流は子どもの権利で、夫婦の一方を支援するのではない。関係機関につなぐなど自治体にできるサポートをしていきたい」と話す。

 一方、家族法に詳しい弁護士や大学教授らでつくる「養育支援制度研究会」は、面会交流の頻度や、養育費の金額、支払い方法などを協議して文書にするための参考書式を作成した。今月25日に早稲田大学(東京)で開くシンポジウムで書式を公表する。同会のホームページから個人や行政が入手できるようにする。

 東京都文京区は、この参考書式を窓口に置くことを検討している。来年度予算では区独自に、離婚に際しての相談先の案内書を作成する予定だ。

 同研究会のメンバーで早大教授の棚村政行さん(家族法)は、「養育計画の取り決めが行われるよう、市民に近い自治体による支援が期待される。書式のほか様々な資料を無料で提供するので、広く活用してほしい」と話す。(小坂佳子)

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