両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成26年4月1日、毎日新聞

ハーグ条約:発効 「連れ去られた子供」返還制度整う

 ◇過去の事案にも適用「面会交流援助申請」に国内外で動き

 国際結婚が破綻した夫婦間の子供の扱いを定めた「ハーグ条約」が1日、日本でも発効した。条約に加盟する他国に子供を連れ去られた親が、子供との面会や返還の実現に向け国に援助を申請できる。一方で加盟各国の親からは日本にいる子供との面会や返還を求められるようになる。外務省は家庭紛争の専門家ら9人を採用し、当事者からの援助申請や相談に対応していく。

 条約には1月末現在で91カ国が加盟。片方の親が16歳未満の子供を加盟国から別の加盟国に連れ去った場合、残された親が自国や相手国の援助を受けて子供と面会したり、連れ戻したりできる手続きを定めている。

 各国の担当当局は残された親の申請に基づき援助をするか決定する。援助を決めた場合、自国内に連れ去られた子供がいる国の担当当局は、自治体などに情報提供を求めるなどして子の居場所を特定し、友好的解決を図ることが求められる。

 日本で援助申請に対応する外務省は、専門スタッフとして現役の家庭裁判所裁判官や調査官、家庭内暴力(DV)や児童心理の専門家、家庭紛争事件に詳しい弁護士などを採用。裁判によらない解決を促す五つの仲裁機関や、面会が実現した場合に立ち会う二つの面会交流機関と業務委託契約を結んだ。

 残された親が子供を元の国に戻すための「返還援助申請」は1日以降の連れ去りが対象だが、面会を求める「面会交流援助申請」は過去の事案にも適用されるため、条約発効直後から国内外で申請を出す動きがある。

 日本弁護士連合会は面会や返還を求めてきた外国の親や、子供を連れ帰ってきた国内の親に弁護士を紹介する制度を開始。全国で約150人の弁護士が対応可能という。条約に詳しい大谷美紀子弁護士は「24時間相談を受け付ける民間ホットラインの開設や、弁護士のスキルアップが課題となる」と話している。【伊藤一郎】

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