平成27年8月8日、日本経済新聞
外国の裁判官と連携強化 最高裁、ハーグ条約で2人登録
両親の離婚などで国境を越えて連れ去られた子供の取り扱いを定めたハーグ条約に関し、最高裁は、世界各国の裁判官が参加して意見交換する「ハーグ裁判官ネットワーク」に、日本の裁判官2人をこのほど登録した。各国の担当者との連携を強化し、法制度に関する情報を得やすくするのが狙い。
自国に連れ去られた子供の返還の可否は、各国とも裁判所が判断。日本では東京、大阪両家裁が担当している。
最高裁や外務省などによると、ネットワークには6月現在で74カ国の裁判官が参加。裁判官同士が主に電子メールで連絡を取り合い、それぞれの国の法制度や子供の支援態勢などの情報交換をしている。ネットワークの裁判官が集まる会議も数年に1回開かれる。
最高裁は昨年4月の条約発効を機に参加を検討したが、個別の案件を審理する立場の裁判官が第三者とやりとりすべきではないとの意見もあり見送った。その後、実際に子供の返還に関わった裁判官らから、一般的な内容に限り、海外の裁判官と情報交換できるよう求める声が上がり、6月に参加した。
ハーグ条約は93カ国が加盟。外務省によると、7月末時点で日本から海外に連れ去られた子の返還申請は25件、海外から日本に来た子の返還申請は31件、面会の実現を求める申請は85件あった。
ハーグ条約に詳しい本多広高弁護士は「相手の国に、ドメスティックバイオレンス(DV)の際の保護命令があるのかなど、返還後に適切な保護が受けられるのか不明なケースもあり得るので、情報交換は有益だ」と歓迎している。〔共同〕
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