両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成28年3月31日、朝日新聞

別居の夫に親権認める判決 地裁支部、娘の健全成育考慮

 別居している夫婦が娘(8)の親権と離婚をめぐって争った訴訟で、千葉家裁松戸支部(庄司芳男裁判官)は29日、離れて暮らす夫(43)を親権者とし、娘を夫に引き渡すよう妻に命じる判決を言い渡した。
 判決によると、妻は2010年、夫に無断で娘を連れて実家に帰り、娘を夫に会わせることを拒否。夫は娘に会えなくなった。
 夫は、「自分が娘を引き取った場合、妻が娘と面会できる機会を隔週の週末や年末など年間約100日確保する」という計画を家裁に提示。妻は、夫のために確保する面会を「月1回程度」とした。判決は双方の主張を比較し、「子が両親の愛情を受けて健全に育つには、夫を親権者にするのが相当」と判断した。
 30日に記者会見した夫は「娘には、双方の親から愛情を受けて育つ権利がある。100日の面会交流は負担だが、親の責任として守りたい」と話した。代理人の上野晃弁護士は「これまでは子と長く同居している親の意向が重視されてきた。双方の親の姿勢を比較し、もう一方の親も子育てに関われるよう配慮した方を、親権者としたのは画期的だ」と評価した。
 最高裁によると、14年に離婚について調停などが開かれた約1万9700件のうち、母親が親権者となる割合は約93%と、圧倒的に多い。離れて暮らす子どもとの「面会交流」や親権の問題に詳しい棚村政行・早稲田大教授(家族法)は「子どもの利益の観点から、面会交流に積極的な親を親権者に選んだのは、評価できる。『母親優先』の原則を修正したのも注目すべきだ。ただ、親権が移っても面会がどこまで実現されるかは不透明で、子の利益を第一に考え、両方の親が養育に責任を持つ制度の実現に取り組むべきだろう」と話した。(千葉雄高、市川美亜子)

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