平成28年4月4日、Spotlight
アメリカでは、離婚後の子供の親権は共同親権 ~子供を勝手に日本に連れ帰ると誘拐犯!
国際結婚での離婚での子供の親権問題
アメリカ人と結婚して子供が生まれた場合、夫婦円満でうまくいっている間はいいのですが、万が一離婚した場合は、子供の親権に関してかなりややこしい問題が、子供が成人するまでついてきます。特にアメリカで結婚した場合、そしてアメリカで子供を産んだ場合は、離婚後の子供の養育費や移動などが厳しく法律で決めらるので要注意です。
国際結婚は2つの国の法律があるので、相手の国の法律もちゃんと知っておくべきでしょう。
アメリカの共同親権
日本では離婚後は単独親権となりますが、アメリカでは基本的に共同親権となります。
離婚は夫婦の問題であり、子供たちの父親であることと母親であることに関してはなんら変わりはないという考え方なのです。つまり「離婚したら、あなたは子供の親もやめるのですか?離婚してもあなたは間違いなく子供の親なのです。」という考え方がベースにあるのです。
”養育権の放棄”という考えは一切なく、離婚した場合は、子供たちが成人するまで、子供を引き取る母(または父)に対して、子供を引き取っていない父(または母)が養育費を毎月支払う義務があり、これは法律でも守られているので、万が一、養育費の支払いをしなかった場合は、養育費を受け取る側が法的手続きをとることができ、支払わなかった側の銀行口座の差し押さえや、給与から強制的に振り込み手続きなどが裁判所によって執り行えます。それでも支払いが滞った場合は、最終的に犯罪とみなされ、逮捕され、実刑判決が言い渡されます。
日本のように母(父)子手当といった制度はありません。”離婚しても、親が子の養育をする義務がある”という考え方なので、離婚しても国民の税金から手当などの補助は一切でないのです。
日本のような単独親権の方が世界では珍しいのです。
リロケーション
「リロケーション」とは離婚後の子供の移動のことで、アメリカでは離婚後も共同親権であるため、子供の移動、特に国境をまたぐ移動については、父母どちらか一方だけでは決められず、仮に離婚裁判で身上監護権を獲得したとしても、一時的にせよ、子供を連れて日本に帰る場合には他方の親の承認か、もしくは裁判所の許可が必要となります。
それを知らずに、あるいは、それを心理的に受け入れられずに、身上監護権を獲得とした母親(父親)が、他方の親の承諾や裁判所の許可なしに、一方的に子供を日本に連れ去ってしまい、子供の連れ去り問題=アメリカでは「誘拐」とまで発展してしまうケースがありました。
アメリカでは、離婚によって、子供を監護する権利は付与されても、子供の移動についての権利は共同のものとなることをちゃんと理解おかなければなりません。
日本で離婚して、夫(妻)が子供を自分の国に連れ去ってしまうという問題も生じる可能性があります。
2013年の第183回通常国会において、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)の締結が承認され、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(同条約実施法)が成立。その後、条約の署名,締結,公布にかかる閣議決定を行うとともに, 条約に署名を行った上で,オランダ外務省に受諾書を寄託、 日本においては、2014年4月1日、ハーグ条約が発行されました。
ハーグ条約では、どちらかの親が強制的に子供を国外に連れ出した場合、子供を元の居住国へ速やかに返還するよう定めています。子が親の都合によって、慣れ親しんだ交流関係から引き離されないよう、子供の利益を守るのが目的です。条約は子供が16歳になるまで適用されます。ハーグ条約は、加盟国間でのみ有効となります。
最後に
アメリカだけでなく、海外での法律は離婚後の子供の親権と養育問題に関して、とても厳しく定められている国が多いです。日本は、それに比べたらゆるすぎて、おまけに国が母(父)子手当まで支給するような国なので、離婚後、子供を引き取らなかった片親が養育費を支払わないどころか、子供にも会わないケースがとても多いと感じています。まさに日本は離婚したら、子供を引き取らなかった方の親は、子供に対して父(母)権利を自ら捨ててしまう国と言えるかもしれません。子供にとっては、これは深い心の傷となってしまいます。
この問題は、とても根深く複雑なものがあり、ここで語れるようなものではないのですが、日本も離婚後の子供に対する養育の権利と義務をもっと見直すべきかもしれません。
この記事を書いたユーザー
現在、米国籍。(元日本人)アメリカ生活30年を経て、日本に外国人登録をして家族とともに移住。ニューヨークでシングルマザー、会社経営、再婚、日本で末期がん&アルツハイマー認知症の父の介護生活を経験。
Amebaのブログ「ニューヨークからのエアメール ~ever since~」でニューヨーク生活時代に書き溜めていた情報をもとに、いろいろ紹介させていただきます。
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