両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成26年1月22日、毎日新聞

<離婚>子の権利守って 養育費や面会…明石市が資料配布へ

 兵庫県明石市は今年4月から、未成年の子どもを持つ夫婦が離婚や別居を検討する際、養育費と面会交流の取り決めや心のケアなど、子どもの視点に立った離婚の支援を関係機関と連携して行う「こども養育支援ネットワーク」を始める方針を固めた。離婚後の子どもの養育方針を記入する用紙の配布や、民間団体からの相談員派遣を予定しており、全国初の取り組みだ。専門家は「離婚後の子どもの権利を守る画期的なシステム」と注目している。

 市が配布するのは、「こどもの養育に関する合意書(仮称)」。養育費の額だけでなく支払いの期間や振込口座、面会交流の方法や頻度、場所を具体的に記入できる用紙で、離婚届の交付時に一緒に渡す。市への提出義務はなく、「話し合いの参考資料」との位置づけだが、署名と押印があればその後の調停や裁判に活用できたり、より法的効力の強い公正証書を作成したりする際の資料にもなる。

 厚生労働省の2011年の調査によると、母子家庭のうち養育費の支払いを受けているのは20%、面会交流をしているのは28%にとどまる。12年4月には養育費と面会交流の取り決めを規定した改正民法が施行され、離婚届に取り決めのチェック欄が新設されたが、「実効性に乏しい」との批判がある。多くの自治体では、制度を説明するリーフレットを配る程度にとどまっていた。

 支援ネットでは相談体制も充実させる。これまでも実施していた弁護士臨床心理士ら専門職員による法律相談や心理相談に加えて、面会交流を仲介している「家庭問題情報センター大阪ファミリー相談室」(大阪市中央区)の相談員による月1回の無料相談を始める。協議がまとまらない夫婦には、調停の申し立て方法を助言したり、市役所内に今春設置予定の日本司法支援センター(法テラス)分室や県弁護士会につないだりする。

 離婚後の子を巡る争いは近年増加している。司法統計によると、面会交流を申し立てる調停と審判は12年度は1万1459件で、02年度の約3倍に上った。昨年12月には東京都文京区で、離婚調停中の男が子どもと無理心中を図り、2人とも死亡する事件が起きた。

 明石市の泉房穂(ふさほ)市長は弁護士出身で、福祉行政に関心が深く、「離婚でもっとも弱い立場に置かれるのは、子どもだ。既存の制度内でできる取り組みから始めたい」と話している。【反橋希美】

powered by Quick Homepage Maker 5.2
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional