両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成26年6月20日、河北新報

別居・離婚 引き離された親子(下) 会える仕組み 子育て意識共有必要

<支援機関を検討>
 別居や離婚により、わが子と引き離され、会いたくても会えない現状を変えるにはどうしたらいいのか。スムーズに面会交流を実現させるには、何が必要なのか。関係者らが模索している。
 仙台弁護士会の土井浩之弁護士は、東北で弁護士臨床心理士ら専門スタッフで構成する面会交流支援機関の設立を考えている。これまで関わってきたケースの中で、頭では交流が必要と理解していても、不安感や不信感から父親に子どもを委ねられない母親が多かったからだ。
 東京には、元家庭裁判所調査官や調停委員経験者らで組織する公益社団法人家庭問題情報センター(FPIC)がある。首都圏や関西地方など計10カ所に相談所を設け、中立、公平な立場で年400件ほど面会交流の仲介事業を行う。
 土井弁護士はFPICを例に挙げ「身近にこういう機関があれば、面会交流に積極的になれる母親も増えるのではないか。父と母が互いに自尊感情を持ちながら交流をうまく進めるためには、専門スタッフが欠かせない」と強調した。
 「父母の片方が親権者になるという現在の単独親権制度から、父母両方が親権を持つ共同親権制度へ民法改正を」。親子の交流が絶たれている当事者でつくる団体「親子ネット東北」(笹裕子代表)は、こう訴える。笹代表は「離婚して一人で育児を抱え込み、悲惨な事件につながることもある。子どもはみんなで育てるという意識を持てば、そういった事件も防げるのはないか」と話す。

<理念の先行危惧>
 一方でドメスティックバイオレンス(DV)被害者の女性を支援する仙台弁護士会の小島妙子弁護士は共同親権について「法律を変えるだけでは、混乱する」と話す。「当事者が合意できない場合の手だて、ハラスメントを受けやすい子どもや女性が守られる体制が確立する前に、理念だけが先行すると困ったことになる」と危惧した。
 離婚が子どもに与える影響を研究している小田切紀子東京国際大教授(臨床心理学)は「双方の親が離婚後も子どもと交流し、ともに子育てをしようという意識を持つ必要がある」と指摘する。兵庫県明石市の取り組みのように、(1)離婚が子どもに与える影響(2)親同士のコミュニケーションの取り方-などを学ぶ講座を、行政主導で設けることを提案する。「離婚届を出すのは行政の窓口。そこから講座を受ける流れをつくることが望ましい」と話した。

<メモ/養育費不払い貧困も>
 別居や離婚後に子どもを養育する親にとって、別居する親が支払う養育費は経済的な基盤となる。だが、養育費がきちんと支払われないケースも多く、一人親家庭の貧困が深刻化している。
 仙台市母子家庭相談支援センターには「元夫が養育費を払わない」という相談が多く寄せられる。夫のDVが原因で離婚する人も多く、相手と協議できないケースが目立つ。
 相談員によると、DVで傷ついた母親は立ち直るのに時間がかかり、その間仕事もできず、母子の貧困がさらに進む場合もあるという。

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