両親の愛情が子どもの健全な成長に不可欠であるとの認識のもと、子どもの連れ去り別居、その後の引き離しによる親子の断絶を防止し、子の最善の利益が実現される法制度の構築を目指します

平成27年5月29日、産経新聞

年間23万人の子供の親が離婚…子供の幸せを第一に考える本出版

 日本では毎年23万人以上の子供が両親の離婚を経験する。精神的に傷ついたり、経済状況が悪化したりするケースも少なくない。こうした中、家事調停委員の丸井妙子さん(63)が「離婚後の子育て」をテーマにした米国の臨床心理士、ジョアン・ペドロ-キャロルさんの著書を翻訳出版した。丸井さんは「離婚後も、子供の幸せを第一に考え、憎しみを捨てて子育てに協力を」と訴えている。(村島有紀)

親の争いで

 丸井さんは塾や高校の英語教師として25年以上、子供と関わる中で不登校などの問題に関心を持ち、平成16年、千葉大大学院に入学。修了後、千葉県の家庭裁判所で離婚などの家事調停委員を務めながら子供の育成に関する海外の文献や書籍を翻訳してきた。

 離婚によって子供が悩む姿を見てきた経験から、離婚後の子育てをテーマにしたキャロルさんの著書に感銘を受け、約1年かけて翻訳。「別れてもふたりで育てる~子どもを犠牲にしない離婚と養育の方法」(明石書店)という邦題で出版した。

 キャロルさんは、離婚が子供に与える影響と対処法に関する研究分野の第一人者。傷ついた子供の立ち直りを支えるプログラムなどを開発している。「離婚を扱う弁護士や相談センターでは依頼者(親)の心に寄り添うが、子供の立場からの支援は少ない。親にも明かさない子供の心を多くの人に知ってほしい」と丸井さんは話す。

悪口を言わない

 同書によると、離婚家庭の子供の98%が片方の親に去られる悲しみを感じ、もう一人の親からも見捨てられる不安を感じる一方、いつか両親が和解するという期待を持つ場合もある。8割近くは両親の不仲を自分のせいではないかと思い、親から見放されたと感じているという。

 離婚が子供の心理に与える影響は深刻だ。両親の争いに巻き込まれた7歳の男児は、両親がそれぞれ築いた2つの砦(とりで)から集中砲火を受ける自分の様子を絵に描いたという。

 離婚のショックから子供が早期に立ち直るためには、(1)元配偶者の「悪口」を言わずに子供に離婚の事実を伝え、今後の生活への希望を伝える(2)子供が離婚の原因ではないと理解させた上で、両親の関係が元に戻ることはないと納得させる(3)子供を育てるためのパートナーとして、元配偶者との関係を再構築する(4)親子の絆を一層強める-などのステップがあるとする。

 また、元配偶者との関係の再構築については、互いの私生活には介入しない▽敬意と礼儀を保ち、相手の話をよく聞く▽自分の話は要点のみを伝え、子供には両親が会うことを知らせない-などがポイントで、ビジネスパートナーのような関わり方に変える必要性を説く。

愛情が必要

 厚生労働省の統計によると両親の離婚を経験した未成年者は、25年の1年間で約23万人。母親が親権を持つ割合が8割以上を占める。親子の面会交流がなく、親権を持たない親との関係を断絶させられる子供も多いとみられる。

 丸井さんは「離婚の際、両親は自分のことしか考えられないほど追い詰められていることが多い。しかし、子供には離婚後も両親の愛情が必要です」と話している。

      ◇

 ■母子世帯の平均年収291万円

 厚生労働省の平成23年度の調査では、母子世帯の平均年収は児童扶養手当や元夫からの養育費を合計しても291万円。離婚していない子供のいる世帯の平均658万円と比較すると約4割にとどまる。一方、父子世帯の平均年収も455万円で非離婚世帯の約7割だった。

 別れて暮らす親と子供との面会交流については、「取り決めをしている」と回答したのは、母子世帯の母では23.4%、父子世帯の父では16.3%だった。

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